太陽光発電システムを設置する場合、制約となる条件としては、「予算」や「設置面積」があげられます。
できる限り発電量を増やしたいとしても、多くの場合は予算に限りがあるため、予算の枠内で太陽光発電システムを設置することになります。また、屋根に太陽光パネルを設置する面積にも限りがあります。
予算を決め、設置面積を調べたうえで、太陽光発電システムの設置容量が決まる流れとなります。
太陽光発電システムの見積もりを行う場合に、「太陽電池アレイ」という言葉を耳にすることがあります。
太陽電池アレイについて簡単に説明すると、1枚の太陽光パネル、すなわち「太陽電池モジュール」をまとめて設置し、太陽光発電でまとまった量の発電ができる状態となっているもののことです。
なお、「アレイ」とは「配列」や「整列」を意味する言葉ですが、電気関連の言葉として使用する場合、「並列」を意味します。また、アレイに関連する用語として「ストリング」がありますが、これは「直列」を意味します。
太陽電池モジュールを直列でつなぐと「太陽電池ストリング」となりますが、配置を直列にすると設置スペースが限られ、結果的に発電量も限られてしまいます。
そこで、設置スペースを有効活用して発電量を増やすために、太陽電池ストリングを並列につなぎます。
これが「太陽電池アレイ」となります。つまり太陽電池アレイを具体的に説明するなら、「太陽電池モジュールを直列につないだ太陽電池ストリングを並列につないだもの」となります。
太陽光発電システムの見積もりを行う前には、「予算の上限」を明確にしておく必要があります。
予算の上限を決める場合に参考としたい数値としては、「kW単価」があります。kW単価は、(見積価格÷設置容量)で計算されます。
kW単価は、経済産業省調達価格等算定委員会が2019年1月に公表した、「平成31年度以降の調達価格等に関する意見(案)」が参考になります。
それによると、新築物件に太陽光発電システムを設置する場合、kW単価の平均値は32万2000円、建築済みの物件に設置する場合の平均値は35万8000円となりました。
参考:調達価格等算定委員会 平成31年度以降の調達価格等に関する意見(案)
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/044_02_00.pdf
(28ページ参照)
つまり、kW単価の目安としては、30万円から35万円程度となります。
仮に、kW単価を35万円、予算の上限を200万円とした場合、太陽光発電システムの設置容量の上限は5.7kWと計算できます。
また、見積もり前には「設置場所の面積」も調査されます。
設置面積を調べることで、屋根の上に太陽光パネルを何枚設置できるかが分かります。
例えば、設置場所の面積が50m2としましょう。屋根の上から見た場合、横方向に10m、縦方向に5mとします。
太陽光パネルの大きさは製品によってさまざまですが、ここでは計算をしやすいように縦1000mm×横1500mmとします。
この場合、太陽光パネルを横方向に何枚設置できるかを計算すると、(10m÷1.5m)で6枚設置できることになります。
次に、太陽光パネルを縦方向に何枚設置できるかを計算すると、(5m÷1m)で5枚設置できることになりますが、この条件の場合、屋根の縦方向全てに太陽光パネルを設置することになり、スペースの余裕がなくなってしまうため、ここでは設置できる枚数を4枚とします。
つまり、設置面積が50m2の場合、設置できる太陽光パネルは(6枚×4枚)で計算され、最大で24枚設置できることになります。
次に、予算を元に設置容量を決め、設置容量に基づいた分のパネルが実際に設置できるかを確認します。
太陽光パネル1枚あたりの出力は、100W~300Wとさまざまな種類がありますが、ここでは、1枚あたりの出力を250Wとして計算しましょう。
kW単価が35万円、予算の上限が200万円である場合は、設置容量の上限は5.7kWとなりますが、予算に余裕を持たせるために設置容量を5kWとします。
設置容量が5kW、太陽光パネル1枚あたりの出力が250Wである場合、太陽光パネルは20枚必要となります。
20枚の太陽光パネルを設置する場合、屋根を上から見たとすると、横方向に5枚、縦方向に4枚設置することが合理的といえます。
なお、先の項目において設置面積を調べたときに、太陽光パネルは横方向に6枚、縦方向に4枚設置できることが分かったため、太陽光パネルを20枚設置することは可能となります。
太陽光発電システムを設置する場合、太陽光パネルが何枚設置できるか、という点で頭を悩ませることがありますが、「予算」、「設置面積」、「設置容量」を決めておくことで、パネルの設置枚数を明確にでき、設置がスムーズに行われます。
(画像は写真ACより)