効率を追求して多様化!太陽光電池にはどんな種類がある?

コラム
2019年8月28日

シリコンのほか、化合物系や有機物系の太陽電池も

太陽光電池の原料はシリコンが広く使用されています。その理由は、変換効率の観点からみれば、半導体であるシリコンの使用が効果的であるためです。

最近では、低コスト化を実現するために「化合物」が原料の太陽光電池が開発されているほか、製造の簡素化を実現するため、「有機物」の太陽光電池の開発が進んでおり、その種類は多様化しています。

太陽光電池の主流である「シリコン」

太陽光電池の原料は「シリコン」が主流となっています。シリコンが多く利用されている理由は、シリコンが「半導体」であるためです。

半導体とは、電気を通す性質と電気を通さない性質の中間の性質を持つ物質で、条件によって電気が通ったり、通らなかったりします。その性質を活用することによって、太陽光電池での発電が可能となります。

シリコンを使用するタイプとしては、初期の時点で使用されていた「単結晶シリコン太陽電池」があります。

しかし、高純度のシリコンを必要とするため、高コストであることがネックとなっていました。

そのため、最近では、結晶の粒径が数ミリ程度のシリコンを使用した「多結晶シリコン太陽電池」が広く利用されています。単結晶シリコン太陽電池と比べると変換効率は低くなりますが、コストを抑えられる点がメリットです。

また、シリコンの使用量を抑えるという観点から「薄膜シリコン太陽電池」も利用されています。

シリコンが薄くても発電が可能という点に着目して開発されましたが、変換効率は結晶型のシリコン太陽電池よりも低くなっています。しかしながら、低コスト化によりコストパフォーマンスは改善されました。

シリコン系のそのほかのタイプとしては、結晶型と薄膜シリコン型の一種である「アモルファスシリコン型」の長所を引き出した「HIT型太陽電池」があります。

結晶型の長所は変換効率が高いこと、アモルファスシリコン型の長所は高温でも変換効率が落ちにくいことであり、この長所を組み合わせることで、より効率的な発電が実現しました。

コスト削減を実現する「化合物系」

太陽光電池はシリコンの使用が一般的といえますが、シリコンを使用しなくても、複数の元素を適切に組み合わせれば、半導体を使用したときと同様の性質を持たせることができます。

シリコン以外の原料が使用されている太陽光電池は「化合物系太陽電池」と呼ばれています。

化合物系太陽電池を使用するメリットは、薄膜にすることが可能なため、原料の使用量を抑えてコストを削減できること、そして量産が可能となる点です。

化合物系太陽電池で使用される元素としては、「Cu(銅)」、「In(インジウム)」、「Ga(ガリウム)」、「Se(セレン)」などがあります。

実用段階ではシリコン系の太陽電池の方が変換効率が高いものの、実験段階においては化合物系太陽電池の変換効率も高いことから、今後が期待される太陽光電池といえます。

製造の簡素化が期待できる「有機物系」

太陽光電池はシリコン型が主流であり、化合物系の使用も進みつつある状況ですが、そのほかの原料としては「有機物」があげられます。

有機系の太陽光電池は「有機薄膜太陽電池」と呼ばれており、開発中の段階です。有期薄膜太陽電池のメリットは、シリコン系や有機系と比較すると製造が簡単でコストを引き下げられることです。

製造方法を簡潔に説明すると、p型、n型の半導体を混ぜて溶かし、その溶液を基板に塗布して、溶液を蒸発させるとできあがります。

なお、有機薄膜太陽電池はシリコン系の太陽電池と比較すると変換効率が低いこと、そして耐久性が劣ることがデメリットですが、今後、これらの課題を克服すれば、製造が簡単で低コストであるため、広く普及することが見込まれます。

(画像は写真ACより)