発電量を左右する要因の一つは「屋根の形状」
太陽光発電は、電力の自給や電気代の節約という観点から導入を検討している人も多いのではないでしょうか。なお、太陽光発電の導入を検討するのであれば、自宅の屋根がどんな形状をしているのかを事前に把握しておきましょう。
屋根の形によっては効率的な発電が可能となりますが、その一方で、太陽光パネルの設置スペースが限られ、発電量が限られる場合もあるためです。
主な屋根の種類について
屋根に太陽光パネルを設置する前には、自宅の屋根がどのような形であるかをあらかじめ把握しておきましょう。
屋根の形状の主な種類としては、以下のものがあります。
・切妻屋根(きりづまやね)
・寄棟屋根(よせむねやね)
・方形屋根(ほうぎょうやね)
・片流れ屋根(かたながれやね)
・陸屋根(ろくやね・りくやね)
・入母屋屋根(いりもややね)
なお、屋根の形状については、以下のサイトを参考にしてください。
参考:株式会社カク企画設計 屋根の形の種類
http://kakukikaku.com/roofdesign.htm
屋根の形としてシンプルな「切妻屋根」
切妻屋根とは、屋根の最も高い部分にあり、山のような形をしている「棟(むね)」の部分から2つの方向に傾斜している屋根のことで、シンプルな形の屋根といえます。
切妻屋根は、片側の屋根が広いため、太陽光パネルを広範囲に設置できる点がメリットです。
屋根の両面が南北の方向に向いている場合、太陽光パネルは日当たりの良い南側に設置しますが、屋根の両面が東西の方向に向いている場合、どちら側にも太陽光パネルを設置できます。
なお、太陽光パネルはシリコンを原料としていることもあり、夏に気温が上がると発電量が低下する性質があるため、気温が比較的低い午前中に太陽光が当たる東側に太陽光パネルを設置すると、発電効率が高まります。
4つの方向に傾斜する「寄棟屋根」・「方形屋根」
寄棟屋根と方形屋根は、いずれも4つの方向に傾斜がある屋根です。
寄棟屋根は建物が長方形であるため、屋根に「棟」があるのに対し、方形屋根は建物がほぼ正方形であるために「棟」がなく、屋根の頂上部分から全ての方向に傾斜が始まっています。
どちらの屋根も4つの方向に傾斜している点では共通しているため、ここでは一つの項目にまとめて紹介します。
寄棟屋根や方形屋根は屋根が4つの面に分かれています。寄棟屋根は、屋根の形状が台形、または三角形であり、方形屋根は屋根の形状が全て三角形となります。
そのため、四角い形の太陽光パネルを設置するスペースが限られる点がネックとなってしまいます。
スペース不足の問題を解消するための方法としては、「三角形の太陽光パネル」を活用する方法があります。それによって、限られた屋根面のスペースを有効活用できます。
傾斜が1方向のみである「片流れ屋根」
片流れ屋根とは、傾斜が一つの方向にしかない屋根のことです。屋根の面が一つだけであり、なおかつ屋根の面が広いことから、太陽光パネルを設置するスペースを十分に確保できます。
特に、屋根の傾斜が南側を向いている場合は、太陽光パネルを設置することで効率的な発電が可能となります。
ただし、屋根に降った雨水は一つの方向へと流れるため、雨どいの水があふれてしまうことも考えられます。
大雨の場合は雨どいの水が太陽光パネルに影響を与えてしまうこともあるため、太陽光パネルを高い位置に設置するなど、事前に対策をしておきましょう。
屋根面が平らになっている「陸屋根」
陸屋根とは、屋根の部分が平らであることが特徴です。一般的にはマンションやビルなど、鉄筋コンクリート製の建物に用いられています。
陸屋根は、雨が降った場合に水が流れにくい構造となっているため、防水処理をしっかりと行っていなければ屋根が水分で損傷してしまいます。そのような理由もあり、木造住宅で陸屋根が使用されるケースはほとんどみられません。
陸屋根に太陽光パネルを設置する場合は傾斜付きの架台を使用しますが、陸屋根は全ての面が平らであるために、傾斜の向きを自由に決められる点がメリットといえます。
太陽光パネルを全て南側に向けておけば、効率的な発電が可能となります。
堂々とした風格が感じられる「入母屋屋根」
入母屋屋根とは、全体的には切妻屋根の形でありながら、建物の正面と後ろ側が寄棟屋根の形となっており、堂々とした風格が感じられます。
入母屋屋根に太陽光パネルを設置する場合は、屋根の上にまとまったスペースが比較的確保されている切妻屋根の部分となりますが、ほかの屋根の形と比べると複雑な形状をしていることもあり、太陽光パネルを設置するスペースは限られます。
入母屋屋根で発電量を高めたい場合には、三角形の太陽光パネルを活用することも検討してみましょう。
太陽光発電の発電量は、屋根の形状が左右するといっても過言ではありません。
自宅の屋根に太陽光パネルの設置スペースが十分に確保できるようであれば、太陽光発電を活用して電力の自給を実現しましょう。
(画像は写真ACより)