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EPC必見|シリコン太陽電池の進化と選定ポイント|PERC・TOPCon・HJT比較

シリコン太陽電池とは?種類・最新技術と、EPCが押さえておきたい実務ポイント

日本国内で稼働している太陽光発電設備の大半は、シリコン太陽電池を使った発電所です。
FIT初期から大量に導入された設備は、今まさに「新設」だけでなく「リパワリング」「部分更新」のフェーズに入りつつあります。

同じシリコン太陽電池といっても、

によって、発電所の収益性や将来の更新のしやすさが大きく変わってきます。

ここでは、EPC・設計・施工に関わる方向けに、
「技術の基本」と「実務での判断軸」が両方つかめる視点で整理していきます。


1. シリコン太陽電池の基本と発電の仕組み

シリコン太陽電池は、シリコン半導体の pn 接合を利用して、光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスです。

太陽光がセルに入射すると、シリコン内の電子が励起され、
pn 接合部でプラス側・マイナス側に分かれ、その電子の流れが電流になります。

この「セル」を直列・並列に接続したものがモジュールであり、
モジュールをさらにストリングとして束ね、パワコンに接続して発電所全体が構成されています。


2. 単結晶・多結晶・薄膜の違い

シリコン太陽電池は大きく以下に分類されます。

単結晶シリコン

現在、日本市場で新設案件の主流はほぼ単結晶です。

多結晶シリコン

薄膜系シリコン・その他

現在は「どの材料にするか」よりも、
「どの世代の単結晶技術を使うか」が設計上のポイントになりつつあります。


3. PERC・TOPCon・HJT:セル技術の世代差

同じ単結晶モジュールでも、セル内部の構造・世代によって性能が変わります。

PERC(パーク:Passivated Emitter and Rear Cell)

TOPCon(トップコン:Tunnel Oxide Passivated Contact)

量産ラインを既存の PERC から比較的スムーズに移行できる点や、
長期発電量の高さから、世界的にTOPConへのシフトが加速しています。

HJT(ヘテロ接合:Heterojunction)

高効率・高付加価値を求める屋根上案件や、
LCOE(発電コスト)重視の長期案件で採用が進んでいます。


4. なぜ今「TOPCon」が主流になりつつあるのか?

近年、多くのモジュールメーカーが PERC から TOPCon へシフトしている背景には、
単純な効率向上だけでなく、量産性と長期信頼性のバランスがあります。

結果として、「少し高くても長期発電量が高い=LCOE を下げやすい」
という評価がなされやすくなり、世界的な主流技術へ移行しつつあります。

日本のように夏場のモジュール温度が高くなりやすい市場では、
この「長期的な安定発電」という視点は、特に投資家・金融機関からも注目されています。


5. シリコン原材料と価格変動リスク

シリコン太陽電池のコスト構造を見ると、
セル技術だけでなく「ポリシリコン(多結晶シリコンインゴットの原料)」の価格も重要です。

今後もエネルギー価格や地政学リスク、環境規制などによる
価格変動リスクは完全には消えません。

EPC・施工会社としては、
「今いちばん安いメーカー」ではなく、
中長期的に調達・アフターサービスを継続できるサプライチェーンか
という視点も併せて確認しておくと安心です。


6. EPCがチェックしたい「実務指標」

① 温度係数

真夏の屋根上では、モジュール温度が 60℃ を超えることもあります。
セル技術により温度係数は異なり、同じ kW 数でも夏場の実発電量に差が出ます。

「システム全体のピーク発電量」だけでなく、
夏場の発電プロファイルまで含めて見るのがポイントです。

② モジュール大型化と架台・施工への影響

最近の大出力モジュールは、

と進化してきました。

メリット

一方で、

など、施工現場にとっての負荷も忘れてはいけません。

「何Wのパネルか?」だけでなく、「1枚あたりのサイズと重量」が現場に合うかどうかが重要です。

③ リパワリング・部分交換時の互換性

既存設備の一部パネルだけを交換する場合は、
「出力」より先に、以下を確認する必要があります。

ここを見逃すと、架台加工が必要になったり、
既存パネルとの電気的ミスマッチが発生したりしがちです。


7. シリコン太陽電池と「発電所の資産価値」

これまで太陽光発電は「20年間発電するインフラ」という見方が主流でしたが、
最近は「運用しながら資産価値を維持・再構築するインフラ」という考え方が広がりつつあります。

こうした「長い時間軸」で見たとき、
初期段階でどのシリコン太陽電池を採用するかは、
発電所の評価・売買価格・改修コストにまで影響してきます。

「安く買えたから OK」ではなく、
20〜30年のライフサイクル全体で見て合理的かどうか
――
これが、これからのモジュール選定のスタンダードになっていきそうです。


8. 情報・製品をどう活かすか

シリコン太陽電池は成熟した技術のようでいて、
セル世代・モジュールサイズ・設計トレンドは今もアップデートが続いています。

といったテーマでは、
「どの世代のセル技術を、どの架台と組み合わせるか」まで含めて、検討が必要です。

ソーラーデポ運営元のUpsolar Japanでは、こうした実務課題に対して、

なども行っています。
具体的な案件で「この現場に最適なパネル・架台の組み合わせが知りたい」という方は、Upsolar Japanの技術資料やフォームからのご相談も参考にしてみてください。

参考文献・出典リスト

  1. IEA PVPS Task 1
    Trends in Photovoltaic Applications 2024
    国際エネルギー機関 太陽光発電技術プログラム 年次レポート

  2. Fraunhofer ISE
    Photovoltaics Report
    欧州最大級の太陽光研究機関による技術・市場レポート

  3. ITRPV
    International Technology Roadmap for Photovoltaics 2024
    太陽電池技術ロードマップの国際標準的資料(PERC/TOPCon/HJT動向含む)

  4. NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
    『太陽光発電技術開発ロードマップ』
    日本の太陽光発電技術の中長期戦略資料

  5. 経済産業省 資源エネルギー庁
    『太陽光発電の現状と課題』
    日本における導入状況・政策・市場動向

  6. JPEA(一般社団法人 太陽光発電協会)
    『太陽光発電設備の技術動向・市場動向に関する調査報告』

  7. Green, M. A. et al.
    Solar cell efficiency tables (Version 62, Progress in Photovoltaics)
    世界の太陽電池変換効率の公式更新表

  8. Luque, A. & Hegedus, S.
    Handbook of Photovoltaic Science and Engineering
    Wiley出版、太陽光発電の標準的専門書

  9. JIS C 8907 / JIS C 8990
    太陽電池モジュール性能評価および試験方法に関する日本工業規格

  10. IEA Renewables 2023 / 2024 Report
    IEAによる世界再生可能エネルギー市場動向

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