どのくらいかを事前に確認!太陽光発電システムの設置費用の目安は?

コラム
2019年10月7日

設置するかどうかは「費用対効果」で決めよう

太陽光発電システムを設置すると、発電した電気を使えるうえに売電もできる点がメリットですが、設置費用が多額となるために、設置を見合わせている人もいるのではないでしょうか。

そこで、太陽光発電システムを設置する費用について、おおまかな目安を紹介します。システムを設置した費用の回収期間についても目安も紹介していますので、参考にしてみてください。

設置費用の内訳を確認しよう

太陽光発電システムを設置する場合にかかる費用を調べる前に、費用にはどのような内訳があるのかを調べておきましょう。

太陽光発電システムの内訳を大きく分けると「太陽光パネル」、「架台」、「周辺機器」、「設置工事費」となります。

内訳の内容について細かく調べるために、「周辺機器」と「設置工事費」の内容について詳しくみていくことにします。

周辺機器に含まれるものとしては、「パワーコンディショナー」や「接続箱」、太陽光発電の状況を確認できる「モニター」があります。そのほか、太陽光パネルとそれぞれの周辺機器をつなぐための「ケーブル」も必要となります。

また、設置工事費の内訳としては、太陽光パネルを設置するための工事費、太陽光パネルと周辺機器をつなぐための電気工事費、売電用の電気メーターを設置する工事費があります。

見積書には、内訳別の単価が記載されており、値引き額が記載されたうえで総額が表示されています。

この総額が相場に見合ったものであるかを調べる方法については、次の項目で詳しく説明します。

設置費用が相場に見合っているかを確認する方法は?

太陽光発電の設置費用が相場に見合っているかを調べるためには、「発電量1kWあたりの単価」(以下、kW単価)と「太陽光発電システムの設置容量」を元に計算する方法があります。

はじめに、kW単価についてみていくことにしましょう。

kW単価は、経済産業省調達価格等算定委員会が2019年1月に公表した、「平成31年度以降の調達価格等に関する意見(案)」を参考にします。

それによると、新築物件に太陽光発電システムを設置する場合、kW単価の平均値は32万2000円、建築済みの物件に設置する場合の平均値は35万8000円となりました。

参考:調達価格等算定委員会 平成31年度以降の調達価格等に関する意見(案)
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/044_02_00.pdf
(28ページ参照)

kW単価の目安としては、30万円から35万円程度となり、新築物件ほど単価が下がり、建築済みの物件ほど単価が上がる傾向がありますが、ここでは単価の高い数値を採用し、kW単価を35万円として計算することにします。

また、家庭用太陽光発電の設置容量については、茨城県水戸市が2013年に実施した調査と、岐阜県御嵩町が2011年頃に実施した調査を参考にします。

それによると、水戸市では設置容量の平均が4.18kW、御嵩町では4.5kWとなりました。

参考:
メガソーラーみと発電所 アンケート調査結果報告書
https://www.city.mito.lg.jp/

岐阜県御嵩町 太陽光発電導入者へのモニター調査
http://www.town.mitake.gifu.jp/

ここでは、設置容量の大きい数値を採用し、設置容量を4.5kWとして計算します。

これらを元に計算すると、太陽光発電設備を設置する費用の目安は、
(35万円×4.5kW)=157万5000円となります。

なお、上記の費用はあくまでも目安であり、kW単価や設置容量が変わることによって費用が大きく変化する点に注意が必要です。

太陽光発電の設置費用はどのくらいで回収できる?

太陽光発電システムは高額であるため、設置する場合、「どのくらいの期間で回収できるか」という点に着目したいところです。

回収する期間を計算するためには、「費用の合計」と「1年間の売電収入」を調べておきます。

費用には、設置費用のほか、メンテナンス費用がかかります。資源エネルギー庁によると、メンテナンスのための点検は4年に1回行われ、費用は1回あたり約2万円が相場となります。

参考:資源エネルギー庁 電源種別(太陽光・風力)のコスト動向等について
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/025_01_00.pdf
(18ページ参照)

仮に20年間で考えた場合、費用の総額は、
(157万5000円+(2万円×5回))=167万5000円となります。

次に、売電収入についてみていくことにしましょう。

1年間の売電収入を計算するには(太陽光パネルの設置容量×1kWあたりの年間発電量×売電単価)という計算式となります。ここでは設置容量を4.5kWとします。

太陽光発電設備が1年間に発電する量は条件によって異なりますが、太陽光発電協会(JPEA)によると、1kWあたり約1000kWhとのことです。

参考:太陽光発電協会 Q&A
http://www.jpea.gr.jp/inquiry/q_a/index.html#a03

また、売電単価は年々低めに推移していますが、2019年時点のものとして24円(10kW未満、出力制御対応機器設置義務なしの場合)とします。

上記の数値を元に計算すると、1年間の売電収入は、
(4.5kW×1000kWh×24円)=10万8000円となります。

費用の総額を1年間の売電収入で割ると回収するまでの期間が計算できます。

計算式は(167万5000円÷10万8000円)=15.5年となり、約15年で回収できることが分かります。

なお、上記の数値はあくまでも目安であり、太陽光発電システムの設置容量と設置価格、売電収入によって回収するまでの期間は変わることをあらかじめ理解しておきましょう。

太陽光発電システムの設置費用と回収期間の目安がおおよそ分かれば、システムを設置するかどうかを判断しやすくなります。

費用対効果が十分に見込めれば、太陽光発電システムの設置を検討してみましょう。

(画像は写真ACより)