出力抑制って何?太陽光発電と関係あるの?

出力制御
2019年10月1日

長期に亘り、売電を行うことで自然再生エネルギー化への協力になる太陽光発電。太陽光発電を行ううえでは、出力抑制という制限が行われることがあります。そこで出力抑制とは何なのか疑問がありませんか?

今回の記事では、太陽光発電における出力抑制について解説します。

出力抑制とは何なのか。どんな仕組みで行われるのか。なぜ出力抑制が必要なのか。どのような対応をすればいいのか。この記事を読み、これらの疑問を解消してください。

そもそも出力抑制とは?

太陽光発電における出力抑制とは、電力会社が発電設備に対して出力の制限をかけ、出力量を管理することです。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが急激に導入すると、供給量が需要を上回り、電気の需給バランスが崩れ不安定になります。そこで一時的にエネルギーの買い取りを停止または制限することで需給バランスが崩れるのを回避するのが出力抑制の目的です。

また、太陽光発電などの自然再生エネルギー電力は気候などで発電量が左右されるため、系統関連への出力が不安定になります。これにより変電設備に悪影響を及ぼし、電気設備の故障や大規模な停電を起こす可能性があります。

これから太陽光発電を多く導入するにあたり、起こりうる問題を防ぐために出力抑制は必要です。

出力抑制の仕組み・ルールって何?

出力抑制が適用されるのは、500kW未満の太陽光発電です。以前までは、500kW以上というルールでしたが、2015年1月に固定買取制度が改正されたことにより住宅用の太陽光発電も適用されるようになりました。

さらに、従来は500kW以上の太陽光発電に対し、年間30日を上限(30日ルール)としていました。現在は、年間360時間(360時間ルール)または無制限を上限(指定ルール)として無補償で出力抑制ができるようにルールが変更されています。

また、細かく出力抑制をかけるためには、リアルタイム制御指示器、制御機能付きパワーコンディショナーが必要です。これらの機器を導入しなければいけないことも出力抑制のルールとされています。

電力会社によって変わる出力抑制

太陽光発電における出力抑制は、各電力会社によってルールが異なるのが現状です。

東京電力・関西電力・中部電力では、50kW以上の発電設備が年間360時間の出力抑制対象です。家庭用や低圧の発電設備は対象外になります。

家庭用は10kW未満、低圧は10kW以上~50kW未満です。2015年4月以前に接続を申し込んだものは対象外となります。

また、500kW以上の太陽光発電では、接続申し込み日が2015年1月26日以降である場合、年間360時間の出力抑制の対象です。2015年1月26日以前であれば、年間30日のルールが適用。

北海道電力・東北電力・九州電力・北陸電力・四国電力では、家庭用や低圧、50kW以上のすべての発電設備に対し、無制限の出力抑制が適用されます。

なお、北陸電力では2017年1月24日以降の接続申し込みには指定ルール、2015年4月1日以降の接続申し込みには360時間ルールが適用。

四国電力では、2016年1月25日以降に接続申し込みをした案件には指定ルールが適用範囲です。2016年1月25日以前に接続申し込みした場合、360時間ルールが適用。

中国電力・沖縄電力では、家庭用や低圧、50kW以上のすべての発電設備に対し、年間360時間の出力抑制が適用。出力抑制の枠を超えた場合は指定ルールが適用されます。

中国電力においては、今から接続申し込みをした場合、360時間ルールが適用。接続可能量を超えた場合、指定ルールとなります。

50kW~500kW未満の太陽光発電は、2015年1月26日以前に接続申し込みをしている場合、出力抑制の対象外です。500kW以上の場合、30日ルールとなります。

沖縄電力では、10kW未満の太陽光発電の場合、2015年4月1日以降に接続の申込みをしていると360時間ルールが適用。接続可能量を超えた場合は、指定ルールとなります。2015年4月1日以前に申し込んでいる場合は出力抑制の対象外です。

10kW~500kW以上の太陽光発電の場合、2015年1月26日以降に接続申し込みをしている場合に360時間ルールが適用。

出力抑制に対してどんな対応をすればいい?

太陽光発電によって発電した電気を売電する場合、電力会社と太陽光発電設備を接続しなければいけません。接続する太陽光発電設備が出力抑制の適用範囲に当てはまる場合、接続申し込み時に同意が必要です。

なお、出力抑制は各電力会社が必要かどうか判断し、太陽光発電設備の所持者に対し連絡が送られます。この場合は、連絡内容に合わせて手動または自動で発電の停止などの操作が行われます。

ただ、出力抑制の連絡に対し、手動で停止する場合は手間とコストがかかります。そのため、今後の展望としては後付けで遠隔制御ができるシステムの導入も考えられています。

(画像はPixabayより)

まとめ

太陽光発電の出力抑制について理解できましたか?

出力抑制は、多くの太陽光発電を導入するにあたって重要な制度。太陽光発電による電力を売電するうえでも必要な知識なので、導入を考えている場合は理解が必要です。