中国の輸出還付廃止で太陽光パネル価格はどうなる?最大9%上昇リスクと旧サイズパネル調達のポイント

コラム
投稿日:2026年1月20日 / 更新日:2026年1月20日

中国政府による太陽光パネル輸出還付廃止で最大9%の価格上昇リスクが懸念されています。日本市場での旧サイズパネル調達やリパワリング・補修案件への備え方を、EPC・販売店向けに解説します。

はじめに:太陽光パネル価格を取り巻く環境が変わり始めた

太陽光パネルの価格は「年々下がる」が前提――。
これまで多くのEPCや販売店、オーナー様がそう考え、案件の採算やリパワリング計画を立ててきたのではないでしょうか。

しかし、中国政府による太陽光発電関連製品の輸出増値税還付(VAT還付)の廃止を含む一連の措置により、今後は太陽光パネル価格が最大9%程度上昇する可能性が指摘されています。

本コラムでは、

  • 中国の輸出還付「13%→9%→0%」の流れ

  • 太陽光パネル価格に与える影響

  • 日本市場、とくに旧サイズパネル・リパワリング案件の調達リスク

  • EPC・販売店がいまできる備えと、Upsolarの旧サイズ対応ラインナップ

について整理します。

「ずっと下がる」はもう前提ではない ─ 太陽光パネル価格のトレンド変化

ここ10年ほど、太陽光パネルの国際価格は右肩下がりが続き、「来年も太陽光パネル価格は下がるだろう」という前提で案件を組むことが、半ば常識になっていました。各国の統計でも、2023年頃まではモジュール価格は年々低下し、国際機関のレポートでも「コスト低減が続いた10年」が総括されています。

しかし2024年以降、モジュール価格は底打ち感が強まり、一部地域ではじわりと反発する動きも出ています。日本国内でも、原材料高や為替動向を理由に値上げを告知するメーカーが出始めました。

こうした「潮目の変化」を決定づける可能性があるのが、中国政府による太陽光発電関連製品の輸出増値税還付(VAT還付)廃止です。中国の還付廃止は、太陽光パネル価格を押し下げていた構造そのものを変えるインパクトがあります。

中国の輸出還付「13% → 9% → 0%」という大きな流れ

中国は世界の太陽光パネル供給の大半を担っており、日本に入ってくるモジュールの多くも中国製です。その中国で、ここ数年、輸出時の税制が大きく変わりつつあります。

ざっくり整理すると、流れは次の通りです。

  • 2024年12月:輸出還付率「13% → 9%」へ引き下げ
    PV・電池などの輸出について、付加価値税の還付率が4ポイント引き下げ。
    中国側の分析では、「輸出価格の行き過ぎた下落を抑えるため」とされています。

  • 2026年4月1日:太陽光発電関連製品の輸出還付を全面廃止予定
    PVモジュールなど249品目について、輸出時の増値税還付をゼロに。

  • 電池製品は2026年4月〜12月で『9% → 6%』、2027年からゼロへ段階的に廃止

この一連の措置は、

  • 中国国内の「過度な値下げ競争」(いわゆる“内巻”)の是正

  • 赤字覚悟のダンピング輸出への歯止め

  • 各国との貿易摩擦を和らげる狙い

と解説されています。

日本側から見れば、これまで太陽光パネル価格を押し下げてきた“見えない補助金”がなくなる動きと捉えることができます。

なぜ「最大9%の値上がりリスク」と言われるのか

還付率が13%から9%に引き下げられたのち、2026年4月以降は還付そのものがゼロになります。

単純化して考えると、

  • 2024年まで:輸出価格に対して最大13%分の増値税が還付される

  • 現在(2025~26年初):還付は9%

  • 2026年4月以降:還付ゼロ(=9%分のメリットも消失)

という流れになります。

この「9%の還付が消える」ことは、理論上はFOB価格ベースで最大9%相当のコスト増要因になり得ます。実際に、日本の業界向け解説でも「中国製モジュールに依存する海外市場では、価格上昇を支える要因になる」とのコメントが出ています。

もちろん、実際の太陽光パネル価格の値上げ幅は、

  • メーカーの利益水準

  • 他国メーカーとの競合

  • 在庫状況(駆け込み発注の有無)

  • 案件規模・契約条件

によって大きく変わります。

とはいえ、「為替や原材料が落ち着けばまた安くなる」ではなく、「政策変更そのものが底値を切り上げる可能性がある」という点は、太陽光パネル調達を担当する方にとって押さえておくべきポイントです。

税制だけではない:ポリシリコン・電池・貿易摩擦という“三重苦”

今回の輸出還付撤廃に加え、上流・周辺分野でも太陽光パネル価格を押し上げる要因が積み重なりつつあります。

  • ポリシリコンの再編と供給調整
    中国政府は、エネルギー効率基準に合わないポリシリコン工場の停止を示唆し、実際に大手メーカーが生産能力の3分の1を削減する計画も報じられています。
    その結果、2025年にかけてポリシリコン価格は底値から反発し、モジュールの原価にもじわりと効いています。

  • 電池側の税制変更とリチウム価格の高騰
    電池製品の輸出還付も、9%から段階的にゼロへ。
    これを受けて中国国内のリチウム価格は急騰し、エネルギー貯蔵・EV向けを中心にコスト増圧力が高まっています。

  • 欧米を中心とした貿易措置・強化されたサプライチェーン規制
    米国や欧州では、中国製PV製品に対するアンチダンピング税・カウンターベイリング関税、強制労働関連規制などが強化され、調達の選択肢や物流リードタイムにも影響が出ています。

これらを総合すると、「原材料・部材・完成品のどこかで、今後数年はコストが跳ねやすい状態」が続く可能性が高いと言えます。

日本市場で起こりうる3つのシナリオ ─ 太陽光パネル価格と調達

日本のEPC・販売店・オーナー様にとって、今後数年の太陽光パネル調達には、次のような展開が想定されます。

短期:2026年4月前の“駆け込み輸入”と一時的なタイト感

還付撤廃前に価格条件の良いロットを押さえようとする動きが強まり、一部モデルではスポット在庫がタイトになる可能性があります。

中期:安値案件が減り、適正価格への「ならし」が進む

赤字覚悟のダンピング輸出が減ることで、「とにかく一番安い太陽光パネルを探す」調達スタイルでは案件組成が難しくなっていく可能性があります。

とくに公共・FIT残案件よりも、自家消費・PPA・リパワリングなど、LCOEや長期的な信頼性に重きを置く案件では、「極端な安値品」よりも「適正価格の信頼できるラインナップ」が選ばれていくと考えられます。

長期:旧サイズ・補修用パネルの“調達難”が一段と顕在化

240/250W・290/300Wクラスの多結晶パネルなど、既設と同じサイズ・近い電気特性の製品は、もともと供給が限られていました。

今後、海外の生産ライン統廃合や税制変更の影響で、
「見つけたときに押さえないと次はいつになるか分からない」という状況が一層強まることが予想されます。旧サイズパネルを使った発電所のリパワリングや部分補修では、調達リスクが顕在化しやすくなります。

価格が動く前にできる実務的な備え(EPC・販売店向け)

こうした環境変化のなかで、日本の事業者がいまできる「現実的な打ち手」は次のようなものです。

① 既設案件の“旧サイズリスト”を作成する

自社が過去に手掛けた案件のうち、将来リパワリング・部分補修が想定されるものについて、

  • パネルメーカー・型番

  • 外形寸法

  • コネクタ仕様

を一覧化しておくことで、「必要になってから太陽光パネルを探す」状態を避けられます。

② 調達先と“代替候補”を事前にすり合わせる

「完全同一品」が難しい場合でも、

  • 外形寸法が同等の単結晶モデル

  • 出力レンジを揃えた交換プラン(複数枚同時交換 等)

など、現実的な代替案を事前に検討しておくことで、故障や事故発生時のダウンタイムを減らせます。

③ 税制変更を織り込んだ“価格前提”で案件を組み直す

2026年以降に発電を開始する案件については、「現行価格-数%」ではなく、「還付撤廃後の太陽光パネル価格レンジ」を前提にした試算も用意しておくと、オーナー様への説明がしやすくなります。

Upsolarの「旧サイズ対応」パネルラインナップ(国内在庫)

Upsolar Japanでは、こうした市場環境を踏まえ、既設案件の補修・部分交換・リパワリング向けに、いわゆる「旧サイズ対応」パネルを日本国内在庫でご用意しています。

代表的なサイズ帯の例としては、

  • 240/250Wクラス多結晶パネルと互換性を意識した“1650×992×35mmクラス”の単結晶モデル

  • 290/300Wクラス多結晶パネル向けの“1956×992×35mmクラス”の単結晶モデル

など、既設パネルの外形寸法・フレーム厚・電気特性にできるだけ近づけたラインナップを展開しています。
(具体的な型番・仕様値は、案件ごとの既設仕様に合わせて個別にご案内いたします。)

ポイントは、

  • 国内倉庫からの出荷のため、リードタイムが比較的読みやすいこと

  • サイズ・仕様がマッチすれば、一列単位の置き換えや部分交換がしやすいこと

  • 還付撤廃や原材料価格の動きに左右されにくい形で、一定量の在庫をあらかじめ確保していること

です。

なお、Upsolar Japanの旧サイズ対応パネルの代表的なサイズ・仕様は、
旧サイズパネル ラインナップ一覧ページでもご確認いただけます。
具体的な寸法・出力レンジを一覧で比較されたい場合は、こちらもあわせてご参照ください。
旧サイズラインナップページ

価格が本格的に動く前に――図面・既設仕様の送付からご相談ください

中国の輸出増値税還付の廃止は、世界の太陽光パネル価格に「最大9%の底上げ圧力」をかける可能性があります。
同時に、ポリシリコン供給調整や電池・物流・規制強化といった要因も重なり、
「必要なときに、必要なサイズの太陽光パネルが、今までのような価格で手に入る」という前提は、今後ますます揺らいでいくと考えられます。

Upsolar Japanでは、

  • 240/250W・290/300Wクラスを中心とした旧サイズ対応パネル

  • リパワリング・補修・部分交換案件向けの設計・選定サポート

を通じて、皆さまの中長期的な調達リスク低減をお手伝いいたします。

既設発電所のリパワリングや部分交換を検討されている方には、「旧サイズパネル寸法チェックフォーム」もご用意しています。

(旧サイズ寸法チェックフォーム)

「この案件の既設パネルサイズに合う代替品はあるか?」
「将来のリパワリングを見据えて、今のうちに候補を押さえておきたい」

といったご相談がございましたら、

  • 既設パネルのメーカー名・型番

  • 外形寸法

をお送りいただければ、営業・技術チームより最適な置き換え案と在庫・納期の目安を1営業日以内にご案内いたします。

還付撤廃後の価格変動や供給タイト化を見据え、旧サイズパネルの確保は「早めの一手」が大切です。
具体的な案件や将来のご計画がございましたら、ぜひお早めにお問い合わせください。