【対談コラム】営農型太陽光発電の遮光率問題と規制強化、垂直架台は解決策になるか

コラム
投稿日:2026年4月27日 / 更新日:2026年4月27日

ノウチエナジー 酒本道雄 × アップソーラージャパン|遮光率規制時代の架台選び


営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)をめぐる規制が急速に強化されている。2024年には農地法施行規則の改正、ガイドラインの法制化、FIT交付金の一時停止措置が相次ぎ、遮光率と営農実態のバランスが許可の存続に直結する時代に入った。

こうした中、農地の上空を覆わない「垂直設置型架台」に注目が集まっている。営農型太陽光発電の健全な普及を推進する一般社団法人ノウチエナジー代表の酒本道雄氏は、ソーラーシェアリングの黎明期から農業と発電の両立に取り組み、東京大学との共同研究をはじめ、遮光下での作物栽培に関する知見を積み重ねてきた人物だ。

今回は酒本氏をお迎えし、営農型太陽光発電の現場が抱える遮光率・規制強化の課題と、垂直架台「UP-Stand」がもたらす可能性について語り合った。


営農型太陽光発電の遮光率と規制強化、現場で何が起きているか

酒本 制度としては着実に広がっています。農水省の一時転用許可実績も積み上がり、認知度は確実に上がりました。ただ、現場レベルでは「発電と営農の両立」が名ばかりになっているケースもあり、農水省も2024年・2025年と立て続けに規制を強化しました。裏を返せば、営農の実態が伴わない案件が増えたということです。

酒本 そのとおりです。従来の上部設置型では、パネルが農地の上空を覆いますから、遮光率の設計が作物の収量を左右します。一般的に遮光率30%程度が目安とされていますが、作物ごとの光飽和点は異なりますし、季節や天候によっても日射条件は変わる。農業委員会の審査でも「本当に営農できるのか」が厳しく問われます。

アップソーラージャパン 実際、2024年4月には農地法施行規則の改正とガイドラインの策定により、営農型の許可基準が初めて法制化されました。同年8月には、営農の実態が伴わない342件の事業者に対してFIT/FIP交付金の一時停止措置も実施されています。遮光率と営農実態のバランスは、もはや運用上の注意事項ではなく、許可の存続や交付金に直結する法的要件になっています。こうした流れの中で、架台の選定段階から遮光への影響を明確に説明できるかどうかが、案件成立の分かれ目になりつつあります。


Upsolar Japanの垂直太陽光架台UP-Stand

酒本 これは根本的にアプローチが変わりますね。従来型は農地の「上」にパネルを被せる構造ですから、どうしても光を遮ります。一方、垂直設置はパネルを地面に対して立てるわけですから、農地の上空を覆わない。遮光の問題構造そのものが変わるのです。

アップソーラージャパン UP-Standの場合、架台間の間隔を調整することで、農地への日射確保が可能な設計になっています。パネルが垂直に立っているので、影は時間帯によって移動し、一カ所に長時間固定されない。従来型とは日照パターンがまったく異なります。

酒本 営農型を長年見てきた立場からすると、この「影が固定されない」という点は非常に大きい。従来型の固定角パネルは、晴天時に決まった場所に常に影ができる。作物の生育にムラが出る原因です。垂直設置なら、その課題が構造的に緩和されます。

出典:農林水産省資料

積雪荷重200cm対応、積雪地域の営農型こそ垂直架台の本領

酒本 積雪地域の営農型は、とりわけ難易度が高い。冬季にパネル上に積もった雪が農地に落下して作物や土壌に影響を与える問題、架台が積雪荷重で歪んで営農スペースが狭くなる問題、そもそも除雪作業に人手とコストがかかる問題。正直、積雪地域では営農型をやりたくても躊躇する事業者が少なくありません。

アップソーラージャパン UP-Standは垂直積雪量200cm以下に対応した設計で、パネル面に雪が堆積しない構造です。

酒本 それは積雪地域の農家にとって大きな意味がありますね。落雪がないということは、冬季も農地の管理がしやすくなる。たとえば冬場にハウスを併用する農業者にとって、落雪リスクがないのは安心材料になります。


両面発電×東西設置の「ふたこぶラクダ型」発電、営農との相性は

酒本 面白い視点ですね。農作業は基本的に朝の涼しい時間帯と夕方に集中します。日中の暑い時間帯は作業効率が落ちる。発電のピークが朝夕にシフトするということは、もし自家消費型で考えるなら、農作業で電力を使いたい時間帯と発電ピークが近いわけです。灌漑ポンプや選果設備の稼働タイミングとの親和性は高いかもしれません。

アップソーラージャパン 売電の観点でも、電力市場価格は朝夕のほうが日中より高い傾向にありますから、発電単価の面でもメリットがあります。JPEAの参考ガイドでも、高緯度地域では従来の南向き傾斜設置と比較して発電電力量の面で優位になるケースがあることが示されています。北海道・東北の積雪地域で営農型を検討する際には、特に有力な選択肢になり得ます。


農業委員会の審査で垂直設置型はどう評価されるか

酒本 率直に言えば、農業委員会の多くは垂直設置型の審査経験がまだ少ないはずです。ただ、審査で問われるのは「営農が適切に継続できるか」。その点では、農地上空を覆わない垂直設置は、従来型よりもむしろ説明しやすい面があります。遮光率の議論そのものが構造的に緩和されるわけですから。

もちろん、垂直パネルが農作業の動線を妨げないかなど、別の観点での確認は必要です。架台間隔と農業機械の幅の関係、パネル高さと作業性の関係など、農業の現場に即した設計の詰めが求められます。ノウチエナジーとしても、垂直設置の営農型について栽培データの蓄積を進めていきたいと考えています。

アップソーラージャパン UP-Standの対応パネルサイズは縦幅1,500〜2,400mm、パネル下面高さは600〜2,000mmの範囲で調整可能です。農業機械の進入経路やハウスとの併設など、個別の営農条件に合わせた設計相談にも対応しています。


EPC・施工会社が営農型で垂直架台を提案する際のポイント

酒本 大前提として、「発電設備をつくる」のではなく「農業と発電を両立する仕組みをつくる」という意識が不可欠です。架台選びも、kW単価だけで決めるのではなく、営農への影響と両立性から逆算して選ぶべきです。垂直架台はその意味で、農業側の要件をクリアしやすい構造的特性を持っている。ただ、実際の営農計画とセットで提案しないと、農業委員会の審査で行き詰まります。ノウチエナジーでは営農計画の立案や栽培作物の選定支援も行っていますので、ぜひ架台の設計段階から連携していただきたいですね。

アップソーラージャパン 当社としても、UP-Standの製品情報提供だけでなく、営農型での導入に必要な設計条件の整理や、ノウチエナジーさんのような営農の専門家との連携を含めたトータルなご相談に対応していきたいと考えています。図面・お見積りのご依頼はもちろん、営農型での活用を前提としたご相談もお気軽にお問い合わせください。


酒本 道雄(さかもと みちお) 一般社団法人ノウチエナジー代表。2013年に一般社団法人ソーラーシェアリング協会を共同設立。東京大学との共同研究を通じて、遮光下での農作物栽培に関する実証データを蓄積。2019年にノウチエナジーを設立し、営農型太陽光発電の健全な普及と、発電と農業を組み合わせた「ニューアグリ・ビジネスモデル」の開発に取り組む。各地の自治体・民間企業からの要請でセミナー講師も務める。


本コラムは、対談の内容をもとに編集・構成しています。 垂直太陽光架台「UP-Stand」の詳細・お問い合わせはこちらまで。


出典・参考文献

【行政・公的機関】

  1. NITE(製品評価技術基盤機構)「太陽電池発電設備における氷雪事故リスクを低減するための対応ポイント」(2024年11月20日) https://www.nite.go.jp/
  2. 農林水産省「営農型太陽光発電について」(令和7年4月) https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/einou.html
  3. 農林水産省「営農型太陽光発電取組支援ガイドブック 2025年度版」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/
  4. 農林水産省「営農型発電設備に係る農地転用許可制度の取扱いについて」(2019年5月、2024年4月改正、2025年4月改正)

【業界団体・ガイドライン】

  1. JPEA(一般社団法人太陽光発電協会)「垂直設置型太陽光発電導入のための参考ガイド 実践的ヒントと事例」(2025年12月 第1版) https://www.jpea.gr.jp/feature/vertical/

【製品・企業情報】

  1. Upsolar Japan株式会社「垂直太陽光架台 UP-Stand 製品情報」 https://www.upsolar.co.jp/product/up-stand/
  2. ソーラーデポ「垂直太陽光架台(垂直設置型太陽光発電)とは? 両面受光×東西配置の特徴とUP-Stand」 https://solar-depot.jp/archives/17074

【団体・関連組織】

  1. 一般社団法人ノウチエナジー 公式サイト https://nochi-energy.org/

【報道・メディア】

  1. 日経BP メガソーラービジネス「『垂直設置型太陽光』の導入ガイド、JPEAが公開」(2026年1月) https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05553/
  2. SOLAR JOURNAL「省スペースでの使用ニーズに対応! Upsolarの垂直架台『UP-Stand』」(2026年3月) https://solarjournal.jp/product/62640/

※URLは2026年4月時点のものです。リンク切れの際は、各機関の公式サイトからご確認ください。