太陽光事発電システム業界にいる立場上、インターネットで太陽光発電に関する情報収集をする事があります。その際によく見る質問やその回答に疑問を感じる事があります。
もちろん正しい情報もありますが、明らかにイメージや感情で語られている事があり正しい情報を求めている人に誤解を与えかねません。
今回はインターネット上や弊社にお問い合わせがある太陽光発電の噂や疑問に対して一つずつ考えていきたいと思います。
関連記事:売電価格が14円になっても太陽光発電投資は儲かるか https://solar-depot.jp/archives/1249/
1.太陽光は儲かりますか?
この質問は非常に多いです。これに対する正しい回答は「条件次第」です。太陽光発電投資、もっと言えば何事にも言えますが○○は良いか?という質問は少し乱暴です。もし株は儲けるか?不動産投資は儲けるか?と言われたらどうでしょう。YES、NOのような一つの答えはありません。太陽光投資もその他投資と変わらずある程度条件がそろったら利益がでます。また太陽光だけが特に劣っているという事もありません。従って回答は「条件次第」となります。
2.太陽光投資はもうだめだ、バブルがはじけている等
これはイメージや理解度の少なさから生まれる誤解だと思います。恐らく売電単価の下落や出力制御のニュースや噂を基に語られているのでしょう。太陽光の様な投資はいつでも収入-経費 = 利益が成り立つか否かだけです。売電単価が低下しても投資金額が抑えられれば利益がでます。出力制御があっても上記の公式が成り立てば利益がでます。
関連ブログでも書きましたが売電単価の下落に合わせて発電所購入の初期投資額も同時に下がっています。従って売電単価低下 = 太陽光投資の終焉にはなりません。また現在市場で販売されている発電所はまだまだ以前の比較的高い売電単価のものが多くあります。2019年に申請できる売電単価は14円ですが、市場では20円台、30円台で既に申請がとれた発電所が販売されています。
また出力制御に関しても実際の制御時間とその影響を考えれば悲観する必要はありません。出力制御が一番かかっている九州電力の2018年度データによりますと、出力制御は1発電所あたり5~6回/年かかっているとの事です。出力制御による再エネの逸失電力量比率(出力制御率)は0.9%です。年間200万円の売電収入であれば1.8万円、年間150万円の収入だと1.35万円のロスです。これが仮に1.5倍になったと考えても、投資として崩壊する数字ではありません。株やFXの日々の下落、不動産投資の修繕費のような投資時に織り込めるリスクの一つです。
3.太陽光投資は土地を持っている人だけもうかる
これは少しだけ正しいです。正しく言うのであれば土地を持っている人がすれば有利になるという事です。土地を持っていない人が不動産投資をすると必ず損するか?答えはしっかり条件を満たせば利益が出る、だと思います。太陽光投資も同じです。
4.太陽光投資は借金をしてまでやるものではない
これは借金=悪という日本の金銭感覚が影響していると思われます。まずこれを会社に例えてみます。会社経営は太陽光投資とは別とみられるかもしれませんが、つまるところ将来の不確定な需要に対しリスクをとり借金をして人材・設備等に投資しています。全て手持ちのキャッシュでこれを行える会社は非常に稀です。またそのお金が貯まるまで投資を待つ会社も少ないです。なぜなら経営のスピードを損なうためです。
これと同様に太陽光や不動産、若しくは株の信用取引もある程度の規模の利益をスピードをもって得るためには借り入れをおこし投資する必要があります。手元に数千万円~数億円貯まってから投資をするではいつになるかわかりませんし、そこまで自力で貯められる人は逆に投資しなくても良いかもしれません。スピードを持って利益の規模も確保するためには融資が必要になります。借り入れ自体に反対の方はリスク&リターンが低い投資信託や貯蓄を気長にするという選択をするだけで、投資スタイルの問題です。
5.自然災害で壊れるのでやめたほうがいい
これもある意味極論だと思います。最近は豪雨や台風で家が浸水したり損傷したりする事が増えました。但しこれをもって自然災害で壊れるから家は建てない、とはなりません。家も長年のローンを支払う必要があり、さらに投資と違って収入を生みません。自然災害のリスクを考えればどちらかと言えば家を建てる方がリスクが高いとも言えます。
家も太陽光も同じです。自然災害リスクの比較的低い場所に、しっかりした基準で建設し、さらに動産総合保険に加入すればリスクヘッジできます。建設の基準で言えば今は電技解釈やJIS規格が改定されて太陽光発電所の強度は以前に比べてかなり強固になっています。従ってニュースや噂だけで結論を下すのは間違った考えです。
6.発電量は年々低下するのでダメだ
大体のパネルは20~25年後に元の出力の約80%になると言われており、もちろん投資時にはそれを考慮すべきです。不動産でも新築時の家賃は古くなるに連れて下がっていきます。それも計算しての投資です。もしこれが計算されずにいるのであれば元々何の投資をしても計画から実績がずれる運命にあったという事で、太陽光だけに特化した問題ではありません。
7.結局直ぐに寿命がきて故障する
各メーカーの見解が少し異なりますが、太陽光パネルの平均寿命は20年~25年、パワコンは10年~15年です。どちらも一般的に10年間の瑕疵保証がついているので10年以内の故障は無償の代替品が提供され、11年以降のものは代替品を購入します。この場合コストが発生しますが、これも投資時に考慮されるべきコストです。
例えばローンの支払等を差し引いたキャッシュフローが80万円/年ある低圧発電所の場合だと20年で1600万円、出力低下を考慮しても1500万円のキャッシュフローはあります。仮に数十万円の代品交換費用が発生したとしても投資としてはまだ悪くありません。
また、形があるものへの投資で劣化や寿命が無いものはありません。太陽光システムだけが寿命があり故障するもの、という事はありえません。
以上、よくある噂や疑問について考えを書きました。まとめとしては太陽光発電投資が特に劣っている、問題があるという事はなく(逆に特に勝っているという事もなく)、他の投資同様、純粋に投資手段の一つの選択であるという事です。時にメディアや噂により極端なイメージを与える事がありますが、このコラムで太陽光発電への正しい理解が進めばと思います。