中国の太陽電池「消費税」で日本の太陽光パネル輸入価格は上がるのか──2027年の増値税還付廃止との違い

コラム
投稿日:2026年9月28日 / 更新日:2026年9月28日

「中国が太陽電池に消費税をかける」というニュースを見て、来年以降、日本に入ってくる太陽光パネルの価格が上がるのではと心配された方も多いと思います。結論から申し上げると、この中国の消費税の改正は、日本側の輸入価格にほとんど関係がありません。本当に価格を動かすのは、名前のよく似た別の制度、すなわち中国の「増値税還付の廃止」のほうです。まずは混線しやすい言葉を、ひとつずつ整理していきましょう。

■ はじめに──2つの「税」を取り違えないために

今回の話をわかりにくくしているのは、「税」がいくつも登場することです。

一つ目は、中国の消費税。これは日本の消費税とは別物で、特定の品目だけにかける個別間接税です。日本でいえば、酒税やたばこ税に近い性格のもの、とお考えください。

二つ目は、中国の増値税(ぞうちぜい)。こちらが、私たちの知る日本の消費税に相当する、幅広い品目にかかる流通税です。同じ「消費税」でも、日本の消費税に当たるのは中国の消費税ではなく、この増値税のほうだ、という点がいちばんのキーポイントです。

つまり今回のニュースは、「中国の消費税」と「中国の増値税」という、中国国内の二つの別の税をめぐる話です。この二つを分けて見れば、分かりやすくなります。。

■ 二つの中国の公告を分けて考える

背景には、中国政府が出した二つの公告があります。

ひとつは、中国の消費税に関する「財政部・税関総署・税務総局 一部電池の消費税政策の調整に関する公告(2026年第20号)」。一部の電池製品に中国国内で消費税を課す、という内容です。

もうひとつは、中国の増値税に関する「財政部・税務総局 光伏(太陽光)等製品の輸出還付税政策の調整に関する公告(2026年第2号)」。太陽光や電池製品を輸出する際の増値税の還付を、段階的にやめていく内容です。

前者(第20号)は中国国内でかかる税の話、後者(第2号)は輸出価格、つまり私たちの輸入価格に効いてくる話です。名前は似ていますが、性格はまったく違います。

■ 中国の「消費税」が日本の輸入価格に響かない理由

第20号が輸入価格に影響しないのは、輸出品には税を残さない設計になっているからです。中国の国家税務総局が公表したQ&A(Q7)に、その答えがあります。中国の消費税をかける製品でも、輸出するぶんは免税、あるいは前段階で払った税が還付される、という仕組みです。「輸出品に税を残さない」というのは貿易の世界共通の考え方で、今回もその原則が守られています。ですから、中国国内で電池への消費税が復活しても、日本に入ってくる製品がその負担を背負うことはありません。

(参照:国家税務総局 公式Q&A https://www.chinatax.gov.cn/chinatax/c102414/c5252006/content.html )

■ 価格を動かすのは中国の「増値税還付の廃止」

輸入価格に効いてくるのは、第2号の増値税還付の廃止です。中国はこれまで、太陽光や電池を輸出する際、いったんかけた増値税を輸出時に還付し、海外での価格競争力を支えてきました。この「戻し」が細くなっています。還付率は2024年末に13%から9%へ下がり、今回さらに踏み込んで、太陽光関連製品は2026年4月1日に還付を全廃、電池製品は同年4月1日に9%から6%へ引き下げたうえで、2027年1月1日に完全廃止となります。

日経BP「メガソーラービジネス」は、これにより中国製の太陽光と蓄電池が1割ほど上がる可能性を指摘しています。背景には、中国国内の行き過ぎた値下げ競争、いわゆる「内巻(ネイジュアン)」を落ち着かせ、業界の秩序を取り戻したいという政策の狙いがあります。日本貿易振興機構(ジェトロ)も、この還付見直しには輸出価格の下落を抑える効果があるとの見方を紹介しています。これまで当たり前だった際限のない値下がりは、制度の面から下支えを失いつつある、ということです。

(参照:日経BP メガソーラービジネス https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05618/?ST=msb / ジェトロ ビジネス短信 https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/01/85f34b633c0797e2.html )

■ 事業者がいま考えておくべきこと

示唆は二つです。ひとつは調達の時期。とくに蓄電池は2027年1月の完全廃止を控えているため、2026年内と2027年以降とでコスト差が出る可能性があります。年明けに注文が集中すれば、価格だけでなく物流や通関の時間にも影響しかねません。予定の立っている案件は、前倒しの検討に値します。

もうひとつは調達のものさし。制度の下支えを失った最安値は長続きしません。これからは単価の安さよりも、供給が途切れないか、品質はどうか、保守まで含めていくらか、という総合的なコストで判断する局面に入ります。

私どもアップソーラージャパンは、パネルや架台を自社で開発・製造するメーカーであると同時に、国内外から部材を調達する専門商社でもあります。パネルから架台、パワコン、ケーブル、監視機器までをワンストップでご用意できるため、製品の値動きに振り回されにくい調達を組めます。

■ よくいただくご質問

Q:中国の消費税の改正で、中国製パネルは値上がりしますか。
A:直接は上がりません。中国の消費税(第20号)は輸出が免税・還付のままなので、日本の輸入価格には基本的に影響しません。

Q:何が価格を押し上げるのですか。
A:中国の増値税還付の廃止(第2号)です。太陽光製品は2026年4月に廃止済み、電池製品は2027年1月に完全廃止。1割ほどの上昇が見込まれています。

Q:中国の消費税と増値税は、何が違うのですか。
A:消費税は特定品目だけにかかる個別間接税(日本の酒税などに近い)、増値税は幅広い品目にかかる流通税(日本の消費税に相当)です。今回、輸入価格に効くのは増値税のほうです。

Q:2026年内にパネルを調達すべきですか。
A:コストと納期の面では前倒しの余地があります。案件ごとに工程や在庫が違うため、個別のご相談をおすすめします。

■ おわりに

「太陽電池に消費税」という見出しだけで身構える必要はありません。中国の消費税は輸出に響かず、日本の輸入価格を動かすのは中国の増値税還付の廃止で、その本番は2027年です。求められるのは、二つの中国の制度を混同せず、調達の時期と調達先を見直し、総合コストで意思決定へ切り替えていくこと。アップソーラージャパンは、メーカーと専門商社の二つの顔で、その最適な調達をお手伝いします。

■ 参考文献

中国財政部・海関総署・税務総局「一部電池の消費税政策の調整に関する公告(2026年第20号)」

国家税務総局「電池消費税政策に関するQ&A(Q7 輸出時の取扱い)」
https://www.chinatax.gov.cn/chinatax/c102414/c5252006/content.html
(2026年9月28日閲覧)

中国財政部・税務総局「光伏等製品の輸出還付税政策の調整に関する公告(2026年第2号)」

日本貿易振興機構(ジェトロ)「太陽光発電・電池製品の輸出増値税還付率を調整、輸出価格下落の抑制効果を持つとの指摘も(中国)」ビジネス短信
https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/01/85f34b633c0797e2.html
(2026年9月28日閲覧)

日経BP「中国、太陽光と蓄電池の『増値税』還付を廃止、価格上昇は必至」メガソーラービジネス
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05618/?ST=msb
(2026年9月28日閲覧)