リパワリングで甦る太陽光発電|FITからFIPへ成功する移行戦略

FIP
2025年10月16日

2012〜2014年に稼働したFIT(固定価格買取制度)案件が、次々と買取期間の満了を迎えています。
一方で、新たに始まったFIP(市場連動型買取制度)は、発電所の自立的な運営力・再投資判断力 が求められる仕組みです。

こうした中で注目を集めているのが「リパワリング(Re-Powering)」です。
既設の架台や電気設備を活かしながら、旧型パネルを高効率パネルに交換し、収益性を再生する動きが全国で広がっています。

FIT満了が迫る2025年、次の一手は「リパワリング」

2012〜2014年に運転を開始したFIT案件が、2025年以降、続々と固定価格買取期間の満了を迎えます。
この10年余りで太陽光発電の環境は大きく変化しました。
当時1kWhあたり40円台だった売電単価は、今や7円前後。
モジュール技術は進化し、発電効率は1.3〜1.5倍に向上。
一方で、老朽化やメンテナンス不足による出力低下、架台やケーブルの腐食など、“寿命の壁”に直面する発電所も増えています。

こうした中で注目されているのが「リパワリング(Re-powering)」。
既存設備の資産を最大限活かしつつ、発電効率・安全性・収益性を再構築する再生戦略です。
単なる機器交換ではなく、“第二のFIT期”ともいえるFIP市場で利益を確保するための再設計プロジェクトなのです。

既存資産を再生させる「リパワリング」の実際

リパワリングとは、既設の基礎・架台・配線・接続箱などを再利用しながら、
モジュールやパワーコンディショナ(PCS)を最新型に置き換える手法です。

特にパネル交換は発電量を左右する核心部分。
現行の単結晶モジュール(N型TOPConやHJTなど)は、旧世代と比べて出力30〜40%向上
温度係数の改善やバイファシャル対応による長期安定発電が期待できます。

ただし課題は「サイズ非互換」です。
2010年代前半の主流サイズ(1640×992mmや1660×990mmなど)は、現在主流の182mmセル・210mmセル系とは縦横寸法が異なります。
そのため、架台の支持間隔が合わず、ボルト位置のズレやクランプ適合不良が発生。
この問題を軽視すると、施工後のズレ・緩み・破損といった事故につながります。

そこでソーラーデポでは、旧サイズパネルをラインナップし、
既設パネルと同寸法の代替品があるかどうかを確認できる体制を整えています。
現場ごとに「そのまま載せ替え可能か」「寸法の再設計が必要か」を検討しながら、
リパワリング案件における最適な更新提案を進めています。

このように、互換性や設計条件を一つずつ明確にしていくことが、
リパワリング成功の第一歩です。

FIP制度下で問われる「設計力」と「市場対応力」

FIT制度下では“発電さえすれば収益が出る”構造でしたが、
FIP制度では、売電単価が市場価格(JEPX)と連動します。
つまり、「安定した発電」と「高稼働率の維持」が、直接利益に響く時代に入ったのです。

そこで求められるのが、設計段階からの再構築力
たとえばアップソーラージャパンのUP-Base NEOは、防水層を傷つけないアンカーレス構造で、
リパワリング現場で多い「既設屋根への再設置」でも防水保証を保持したまま施工が可能。
さらに耐風性能試験を実施し、基準風速38m/s対応の耐風性能を実証済みです。

また、UP-Stand(垂直架台)のような特殊角度設置システムを併用することで、
設置スペースが限られた土地や、日射角度が制約される場所でも高効率発電を確保できます。
こうした“再設置適応型”の架台設計
こそ、FIP移行時代に求められる新基準といえます。

収益構造の再設計:発電から“自家消費+蓄電池”へ

FIPでは、電力を卸市場で売るだけでは価格変動リスクを避けられません。
そのため今後は、発電+自家消費+蓄電池運用という三本柱が標準になります。

工場・倉庫などの産業施設では、昼間の発電を自社利用に回し、
ピークカットとCO₂削減を同時に実現する「自家消費リパワリング」が拡大中。
さらに蓄電池を併設し、夜間に放電することで、電力市場価格の高い時間帯に売電する運用も可能です。

経産省・環境省の補助金制度(自家消費型再エネ・蓄電池併設補助など)も追い風であり、
投資回収期間は6〜8年まで短縮するケースも見られます。

まとめ:リパワリングは「再生」への投資

FIT満了を迎えた太陽光発電所を「終わった設備」として放置するのは、あまりにも惜しい。
既存インフラを活かし、構造体を再利用しながら性能を甦らせるリパワリングは、
新設よりも低コストで再生可能な再エネ資産を築く戦略です。

そして、FIP制度のもとで安定収益を確保するには、
単なる交換ではなく、「設計・施工・運用を一体化した再構築」が不可欠です。
ソーラーデポは、そのための技術と知見を活かし、
現場の“第二の発電ライフ”を支えるリパワリングパートナーとして、全国各地の案件を支援しています。


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参考文献リスト

■ 政府・公的機関資料

経済産業省 資源エネルギー庁
「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT・FIP制度)の概要」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/

資源エネルギー庁(2025年見直し関連資料)
「FIP制度に関する制度設計・運用の在り方」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fip_system.html

環境省
「自家消費型太陽光発電・蓄電池導入支援事業(令和6年度)」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/renewable-energy/

経産省 資源エネルギー庁
「再生可能エネルギー発電事業の運転状況調査(2024年度版)」
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
「太陽光発電システムの長期信頼性評価報告書」
https://www.nedo.go.jp/library/

■ 業界団体・専門機関

一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)
「リパワリングの現状と課題 -FIT満了を迎える設備の活用-」
https://www.jpea.gr.jp/

一般社団法人 新エネルギー導入促進協議会(NEPC)
「FIP制度における発電事業者向けガイドライン」
https://www.nepc.or.jp/

再エネ価値取引市場(GXリーグ連携)
「FIP市場価格の動向分析(2024年度上半期)」
https://www.revalue-japan.go.jp/

■ 専門ニュース・メディア

エネ庵 / Renewable Energy Institute(自然エネルギー財団)
「FIP制度の最新動向と市場連動リスク分析」
https://www.renewable-ei.org/

日経BP「スマートエネルギーONLINE」
「FIT満了時代のリパワリング市場、2025年に再生案件が急増」
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/

Energy Shift(エナジーシフト)
「FIP時代の太陽光発電ビジネスとリスクマネジメント」
https://energy-shift.com/

EneHub.jp
「第25回 太陽光FIP入札結果(2025年)」

最新のニュース

PVeye(株式会社イーステージ)
「リパワリング市場、次の10年に備える施工と保証」
https://www.pveye.jp/

■ 企業・製品関連情報

アップソーラージャパン株式会社
「UP-Base NEO/UP-Stand 製品情報」
https://www.upsolar.co.jp/products/

日鉄エンジニアリング株式会社
「FIP対応リパワリング・蓄電池連携プロジェクト事例」
https://www.eng.nipponsteel.com/news/

■ 海外動向

IEA(International Energy Agency)
“Renewables 2024: Analysis and forecast to 2028 – Solar PV repowering trends”
https://www.iea.org/reports/renewables-2024

IRENA(International Renewable Energy Agency)
“End-of-life management and repowering of solar PV systems”
https://www.irena.org/